
市場としては採用難となっており、採用することに工数、コストが割いている中で退職率を下げる取り組みはどれくらい進んでいますか?5人採用しても4人辞めてしまうと結果としては+1人となってしまいます。
退職率を下げるためにエンゲージメントを上げたり、人員配置をしたり、評価制度を整えたり、働き方を改善したりと様々な手法が取り上げられています。
退職を決めた人と面接し問題を見つけ出そうとする企業は多いかと思います。ですが退職を決めた後ですと後の祭り。従業員が退職を決める前にできたことを見つけ出すために行うのが今回ご紹介するステイインタビューです。
定期的な面接を行うことで従業員が抱えている問題を見つけ出し退職の原因になる前に解決するのです。
ステイインタビューとは?
ステイインタビューは仕事のパフォーマンスを上げるためではなく、従業員が仕事にやりがいを持ち、職場が心地よくなる方法を考えるための面接となります。
最大の目的は、従業員にとって何が大切か聞き出し、望みをかなえるための方法を考える過程で信頼関係を築くことにあります。
実施に当たり大切なことは下記3点です。
- 面接はチームではなく、1対1の面接で行うこと
- 人事部ではなく同じ職場の上司が行うこと
- 面接の実施からフォローまでを計画し実施すること
ステイインタビューにおける事前準備
順を追ってご説明しますね!
面接シートの作成
従業員全員の名前をリストアップします。
右側に、「従業員にとって大切なこと」という欄を作ます。
面接の中で聞いた従業員の話を書きます。
更に右側に、「面接官が思うこと」という欄を作ります。
従業員が望んでいることを実現するためのアイデアや、面接官からアドバイスできることなどを書きます。
「従業員にとって大切なこと」の欄では、勤務のスケジュール、シフト、給料、将来の展望などに対する不満や不安等、些細なことでもすべて書き留めます。
ここでは面接官の考えは入れずに、あくまで従業員の思いだけを記載する
「面接官が思うこと」の欄では、面接官が仕事ぶりを知っている上司となるので、自分の考えを含め従業員の抱えている問題を解決する方法を記載します。特に下記2点を重視しましょう。
- 従業員が気づいていいない長所、短所
- 伸ばした方がいいスキル
立場はあくまで中立
ステイインタビューは従業員のための面接となっており、面接官は常に中立の立場のファシリテーターに徹してください。そして従業員が自分の気持ちを表せるようにしましょう。
質問の工夫
面接では従業員の気持ちを引き出すことが重要で回答者が話を続けやすい質問が大切です。
フィネガン氏が紹介している次の5つの質問を参考に話を広げ従業員の気持ちを聞き出しましょう。
- 会社に来るときに楽しみにしていることは何か。
- この会社で何を学んでいるか。
- この仕事を続けている理由は何か。
- 最近いつ仕事を辞めたくなったか。きっかけは何か。
- あなたの職場体験をよくするために、私ができることはありますか?
これらの質問を行うことで、上司、同僚との信頼関係、仕事が好きかどうかの「3つの基本的なエンゲージメント」があるかどうか知ることができます。
仕事を辞めようと思ったきっかけを知ることで退職を考えさせる要因を探ることができます。
福利厚生や研修制度の確認
時短勤務や配置転換、キャリアサポートなど、アドバイスの中で役立ちそうな情報、制度を先んじてチェックすることも重要となります。
ネガティブな意見に対しての準備
ネガティブな意見を聞くのは誰しも嫌かと思いますが、ステイインタビューではありのままの従業員の意見を聞き、その意見に対応することで信頼関係が生まれます。
ネガティブな意見を聞く際にはエゴを捨て自分を守ろうとせず例背に話を聞きます。
マネジメントの仕方が一方的で意見などを全く考慮しない環境が嫌だ。という意見に対して「できない奴が何を言うんだ」と言い返しては、ステイインタビューは成立しません。
スケジュールを立てる
ステイインタビューを実施するスケジュールを組みましょう。実施の順番は面接官が話しやすい人から始め、大切な人材、退職リスクの人材、それ以外、の順で実施するのが良いです。適当な時間は20分~30分程度です。
面接場所と席
従業員がリラックスできて個人情報を打ち明けやすい場所をお勧めします。社内であれば会議室や周りの従業員から見えない場所などですが、社外カフェなどでよりリラックスできる場所をお勧めします!
ここまで準備できたら成功を思い浮かべ実施に挑みましょう
ステイインタビュー実施の際に必要な4つの技能
普段から実施頂いているかと思いますが改めて下記に注意し実施してください。
傾聴:相手の話を聞くこと
アイコンタクトや相槌などを交え、話している人に集中する
メモを取る
用意した面接シートに他人から見てもわかるようにメモを取りましょう
本音を聞き出す
従業員の答えに対して、「なぜ?」や「他には?」、「それだけですか?」と一歩踏み込んでその先の答えを導きだすことを意識しましょう
企業の決定に責任を持つ
従業員の不平不満に対して完全に同調せず、制度などの企業の決定事項を否定しない答え方を心がけましょう。あくまで中立の立場を意識して実施ください。
面接官自体が企業を心から信頼できていなければ退職者を引き留めることはできません。
実際に実施するステイインタビューの流れ
ではインタビュー実施に当たってのポイントを確認しましょう。
面接官の面接でのスタンスのポイント
- 面接実施における目的をきちんと伝える事
- 従業員の期待を制限すること※給与福利厚生など変更困難なものは避ける
- ポジションの保証や昇進など直接契約に関わるものではないことを伝える
ステイプランの考案
従業員からヒアリングした問題や希望に対する対策をステイプランと呼び下記項目のうち3つ以内で設定するのが良いとされております。
- 各提案に対する目標
- マネージャーが起こすアクション
- 従業員が起こすアクション(できれば)
- 活動する日、複数の活動がある場合には、その日程
- すべてを書き出した書類(そのコピーを面接者と従業員が持つ)
ステイプランは面接官が一人で考えるのではなく、従業員にフィードバックを求めながら一緒に作ることでニーズに沿ったプランとなります。
個々の従業員に合わせてカスタマイズされたステイプランは効果が向上します。
クロージング
従業員とのステイインタビューの後、ステイプランを再度確認し、数日以内にステイプランをまとめた資料を渡します。※できるだけ早く作成することが重要です
予測
面接終了後に、その従業員がどのくらい退職せずに仕事を続けるのか予測する習慣をつけましょう。そうすることで従業員の何気ない一言にも興味が湧いてくるようになります。
ステイインタビューを実施した後に退職者が出てしまった場合、次の点に注意し今後の参考に活かすことが重要です。
注意点
ステイインタビューでの注意点は、あくまで実務の成果や効率について話し合うパフォーマンスレビューではないということをしっかり意識することです。
従業員の気持ちをヒアリングし、抱える問題の解決策を一緒に考えることが重要となります。また実施に当たり信頼されていない上司はうまくいきません。
日頃から従業員がなんでも話しやすい環境を作ることが重要となります。
まとめ
いかがでしたか?あなたの会社で実施した時に成功するイメージはありますか?日頃から従業員が話しやすい環境を整え信頼関係が成り立っていれば容易に成功に繋がります。
まず実施してみていただくことをお勧めします。もしできそうにもないという状況や、実施してもうまくいかないという状況の場合はもっと根本の別の原因が考えられます。
別の記事では私の求人営業10年間の経験をもとに、私にしか語れない、
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。