
今回はHRテックの実用的なお話、導入のメリットや、活用領域についてまとめていきたいと思います。
前編の簡単な振り返り
HRテックとは
HRテックは人材、人事を意味する「HR(HumanResouces)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合させた造語です。
クラウドや人工知能(AI)、ビッグデータ解析などの最先端テクノロジーを活用することで採用・教育・評価・労務といった人事課題を解決・効率化するサービスとなります。
具体的なシステムとしては下記などが挙げられます。
- 勤怠管理システム
- 給与管理システム
- 人事評価システム
- タレントマネジメントシステム
HRテックの普及の背景
様々な要因が挙げられるのですが、主にIT技術の進歩と時代の環境の変化によってHRテックが普及しました。主な理由としては
- タブレットやスマホの普及
- SaaS(クラウド型サービス)の普及
- ビックデータ分析の技術の進歩
- 企業の立ち位置や取り巻く環境の変化
大きな変化の要因は下記3点です。
- 少子高齢化による問題から労働人口が減少していること
- 働き方改革の影響から働き方自体が多様化していること
- 終身雇用制度の崩壊により雇用が流動的になっていること
HRテックの市場規模
日本におけるHRテック市場
日本国内におけるHRテック市場は年々規模が拡大し2019年では前年比130%越えの350億円程度となっています。今後も拡大が予想され2040年度には1,700億円程度と予想されています。
海外におけるHRテック市場
海外の規模は日本と比べ物にはならず約140億ドル(約1兆5000億円)規模となっており、HRテック先進国のアメリカが半分以上を占めているのです。
HRテック業界はすでにカオス状態
HRテックのカオスマップは9種類でざっと500程度のサービスが存在しており今後も様々な分野が登場すると考えられHRテック市場の規模は更に拡大すると考えられます。

HRテックを導入するメリット
ではここからが今回の本題となります!様々な領域のHRテックのサービスをご紹介しておりますが導入に当たりどのようなメリットがあるのでしょうか。
定型業務の削減
HRテックを導入すると定型業務の工数削減が可能となります。その分の時間を採用、育成計画と言った戦略的業務に充てることができるのですね。
人事は戦略的業務以外にも、給与計算、勤怠管理、各種証明書発行、面接日程調整など幅広い業務がありかなりの工数を取られていました。
HRテックでは人事の定型業務をルール化し様々な手続きをオンラインで完結でき、データ管理、労務作業を自動化し本来重要な業務に注力することができるのです。
データの一元管理、可視化、分析
HRテックではクラウド上でデータを管理できるため、人事が扱う幅広い、応募者の履歴書、面接の評価、従業員の給与や人事評価などの情報を一元管理することができます。
また蓄積したデータを可視化、分析しデータに基づいて採用や人事評価を行うことができるため客観的に公正な意思決定を下すことができます。
マネジメントにも寄与しており、社員における成長意欲の度合いや退職リスクなどもAIのデータ分析から洗い出すことができるので、正確に細やかな対応が可能です。
従業員満足度の向上、コミュニケーションの活性化
前段、早期離職の大きな原因をご存知ですか?実は入社後に感じるギャップが大きな原因となっています。そのギャップを低減させるマネジメントが必要になるのです。
HRテックではデータ分析により離職リスク社員の発見が可能となり対策を講じることが可能です。チャットツールなどを用いると良好な人間関係の構築に役立ちます。
コミュニケーションが活性化され、データに基づいた人事評価、人員配置は納得感を生むため、従業員満足度の向上離職率の低下にも有効な手段となっているのですね!
HRテックの活用領域
現在の日本ではHRテックは主に「採用管理」「人材管理」「労務管理」「育成・従業員定着」の領域で活用されております。代表的なサービスと内容を見ていきましょう。
採用管理
採用業務関連のサービスには「採用管理システムATS」、「WEB面接システム」などが代表例として挙げられます。
採用管理システム
採用管理システムATSは応募から入社までの一連業務を一元管理できます。詳しくは「採用管理システムの概要と種類、選び方」の記事でご紹介しておりますので良ければご覧ください。具多的にできることをご紹介します。
- 求人情報の内容設定・編集・公開
- 応募者情報のインポート・管理
- 面接の選考管理・日程調整
- 面接時の応募者評価・合否連絡
- 内定者情報の管理・内定者フォロー
- 媒体ごとの効果測定・分析
自動日程調整、合否連絡が可能で採用管理システム内でスピード感をもって抜けもれなく応募者、関係者とコミュニケーションを取ることができます。
クラウド型の採用管理システムでは進捗状況や評価がリアルタイムで共有できます。
オンライン面接ツール
インターネット上で面接、面談を行えるツールとなり、移動時間や費用が発生しない為、地方や海外など遠方の優秀な人材を獲得する機会を得ることができます。
またあまりお聞きしませんが、面接内容を録画することによって判断に迷った際に社内の関係者に合否に関するアドバイスをもらえたり、一緒に検討したりすることができます。
人材管理
人材管理における代表的なサービスは、従業員のスキル、経験、人事データを一元管理できるタレントマネジメントシステムが挙げられます。
具体的な機能としては
- 育成計画の管理
- パフォーマンスの管理をする人事考課機能
- 従業員の社員情報や勤怠状況、評価内容などの情報管理
タレントマネジメントシステムでは個人の能力を可視化できるので、職務適性を考慮し適正な人員配置、また個別の育成プランを作成することができるのですね。
入社、退社、異動の時期や理由をシステムで管理し分析することもできます。人材流出の防止、人材育成などの課題に対して有効なシステムとなります。
労務管理
給与計算システム、勤怠管理システム、労務管理システムの3つが、労務関連の代表的なサービスとして挙げられます。
労務管理システム
給与管理システムでは勤怠管理データと雇用情報から自動的に給与計算をするシステムとなり雇用形態によって複雑な計算や賞与、年末調整まで効率化することができます。
勤怠管理システム
従業員の出退勤自国の記載、残業時間管理、休暇申請、取得などあらゆる勤怠に関する管理業務を支援するシステムになります。具体的には下記機能があります。
- 生体認証・ICカード・PC・スマートフォンなどによる打刻
- シフトの作成・管理
- 休暇・残業などの申請管理
- 給与計算システムとの連携
クラウド型であれば生体認証やICカードなど正確な情報を保管しリアルタイムで管理することができ残業時間、有給取得などを呼び掛けるなど働き方改革にも寄与します。
労務管理システム
労務管理システムでは社会保険、雇用保険、年末調整など労使関係の管理をするシステムとなっており、具体的には下記機能が搭載されているケースが多いです。
- 住所やマイナンバーといった従業員情報の管理
- 社会保険や雇用保険、年末調整などの書類作成や提出
- 雇用契約書の作成と締結
煩雑な手続きや書類なども簡単に作成できるよう工夫されたサービスが多く、役所やハローワーク、年金事務所への電子申請が可能になるため大幅な工数削減に繋がります。
従業員の定着、育成
代表的なサービスとしては学習管理システムLMS、従業員サーベイツールの2種類
学習管理システム(LMS)
学習教材の配信、受講状況や成績などを管理するシステムとして人気を集めています。具体的には下記のような機能が搭載されています。
- 学習教材の作成
- 各受講者に適した教材の割り当て・配信
- 学習の進捗状況・受講履歴の確認
- 受講者の成績管理
- 教材データの保管
- 受講者とのコミュニケーション機能
従来とは異なりスマホやタブレットなどでも受講が可能なため気軽に受講できますし、リアルタイムで成績、受講状況を把握できるので改善アプローチなどにより学習効果の向上も可能です。
従業員サーベイツール
従業員サーベイツールでは、従業員満足度やエンゲージメントを図るアンケート調査を支援します。従来はエクセルなどで管理していた為、膨大な工数がかかっていました。
すぐに答えられる少数の質問を定期的に実施するため、従業員の声をリアルタイムで抽出できます。未回答者への催促連絡や回答結果の分析・グラフ化機能も付いているため、人事の業務削減が実現します。
従業員や部署といった任意の属性ごとにエンゲージメントを確認できるため、部署や組織全体にどういった問題点があるのか客観的に把握しやすいです。対策方法を提案するサービスもあり、人材定着に効果が期待できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?以前にお話しさせていただいた「採用管理システムの概要と種類、選び方」の記事と少し被る内容もありますがHRテックに関して理解は深まりましたでしょうか?
人事工数を削減し、本来の戦略的業務に時間を使えるというメリットをしっかり認識し導入を検討頂ければと思います。
総務がすべての業務をしており採用活動や教育などをおろそかにしている企業は今の人材の流動性が高い時代を生き抜いていくことは困難になります。
別の記事では私の求人営業10年間の経験をもとに、私にしか語れない、
■採用単価を抑える方法
■面接で魅力的と思わせる方法
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■就活生、転職希望者に役立つ情報
など、様々な企業の成功事例を含めて価値ある情報をお伝えしていきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。