
こんにちは!人事マスクです。
今回は近年の就活生の変化について、人材業界10年の私の視点から情報提供できればと思います。
急変した新卒採用事情
新卒採用の”根本的な変化”
昨今、新卒採用が根本的に変わってきているとよく耳にします。では具体的にどのように変わっているのでしょうか?
今から掲げるワードは現在の新卒採用に関して全部、知らないと恥ずかしいキーワードです。20代社員の皆さん、すでに皆さんが経験してきた就活とはまったく違う局面を迎えています。
今の就活事情をアップデートし、採用活動に生かしてこの採用難の時代を乗り切ってほしいと思います。
頭の隅に入れておくべき、新卒採用の新しいキーワード
社会的背景・環境の変化
史上最速の早期化 / 新型コロナウイルス対策
新卒採用における学生の変化
エントリー数激減 / デジタルネイティブ世代 / 持ってる “つもり” / 大手志向が増殖 / ミスマッチ増加 / 自己分析のやりすぎ / 未来志向 / 超ミーハー就活 / ナビサイト使わない世代 / 親の意思決定権「オヤカク」/ 内定辞退セット / 内定承諾のかけもち / 内定式かけもち / ハイカツ
社会的背景・環境の変化
史上最速の早期化 / 新型コロナウイルス対策
これまで経団連が取り仕切ってきた “就活ルール” が廃止され、2021年卒からは政府が主導することになりました。
とはいえ、国主導のルールに厳密な縛りがあるわけではないのが実情です。
経団連会員以外の外資企業やベンチャー企業などは、これまでも就活ルールに縛られず、早めに内定を出していました。
上記の背景から、企業は優秀な人材の取りこぼしを防ぐためにインターンシップや選考開始時期を早めており、結果的に就活スケジュール全体の早期化を進めています。
「史上最速の早期化」というのは、7月に東京オリンピックの開催が予定されていたためです。
7月頭までしか採用活動が行えないと多くの企業は考えていたため、6月末までには “採り切りたい” というのが企業の本音でした。
そうなると、さらに早期化に拍車がかかり、新型コロナウイルス対策の影響で会社説明会や合同説明会など、いろんなイベントが中止になり東京オリンピックも延期。
3月の現段階では、終息の見通しがついてからが本格的な就活スタートになりそうという見立てもあります。
新卒採用における学生の変化9選
1.エントリー数激減
学生たちはデジタルネイティブ世代。情報が簡単に手に入る時代だからこそ、学生たちは多くの情報を持っている “つもり” になっています。
そこで手持ちの情報の中で企業を絞り込む傾向にあります。でも、それがミスマッチの根源となります。彼らが手に入れている情報は、自分の興味・関心のある領域に関連する情報だけで、決して「情報をたくさん持っている」わけではありません。
限られた情報だと気づいておらず、その情報がすべてだと思っているのです。多くの選択肢があって、それを選べる状態にあるのに、その可能性を見ないで決めてしまう学生も多く見受けられます。
2.大手志向が増殖
新聞やニュースを見ると、リストラや年金問題など、ネガティブな話題ばかりですよね。それで学生たちは安定志向になり、大手志向が増えていると感じています。
でもそれって、間違った安定志向です。今、「ここに所属すれば安心」なんという組織は。トヨタ自動車・豊田 章男社長の「終身雇用難しい」発言も記憶に新しい。
今までの安定は崩壊し始めていて、組織依存はできない時代になりました。
だからこそ個人が力をつけなきゃいけないし、力のある人が安定する。
そんな「安定」の切り替わりを、まだ理解できていない・知らない学生が多いですね。
3.ミスマッチ増加
情報収集の甘さ、自己分析のやりすぎもミスマッチの原因です。
自己分析って、自分の過去を整理して、好きなことや性格を言語化しますよね。
でも、それを未来に紐づけることには、あまり意味がありません。
なぜなら社会も自分も変わるからです。
たとえば、自己分析を元に就職先を決めてしまうと、就職して2、3年が経ったころに「こんなはずじゃなかった」という状態に陥りやすいんです。
これは、未来になにが起こるのか、自分の価値観が変わる可能性もあることを想定せずに就職先を決めてしまった結果と言えます。
入社を決めた当時の理想が実現すると思い込んでしまい、現在の状態にギャップが生じたためそのように感じてしまっているのです。
たまに、「今と5年後、変わらないの?」と聞くと、「絶対変わりません」という学生がいますが、変わらないということはまずないでしょう。
自己分析は単なる自己紹介。
もっと未来志向で、「こういう世界になるから、このスキルが必要。それが身につけられる会社だから入社する」というように考えて、就職先を選択しない限り、ミスマッチは大きくなるばかりです。
4.超ミーハー就活
新型コロナウイルスの影響で合同説明会が中止となったことも、変化を後押しすることになると思います。合説は「取りあえず就活始めよう」という学生たちが、知らなかった企業と出会える場であると言えます。
それがなくなってしまうと、学生は自分の知っている狭い範囲の中での就活をしてしまいがちになります。
だからエントリー数が激減し、メジャーな大手有名企業にエントリーが集中する可能性が高いです。2021年採用は、超ミーハー就活になってしまうかもしれないという懸念を抱いています。
5.ナビサイトを使わない世代
ナビサイトを使わずに就活する動きが、優秀層を中心に広がっています。
インターンシップや企業主催のイベントに参加して早期に企業と接触したりエージェント、ダイレクトスカウト、リファラル等様々なパイプを使ってナビサイト解禁前にほぼ就職先を決めてしまう。
ナビサイトにも一応登録はするけれど、選考というよりは情報収集のため、という感じです。でも、それはあくまで優秀層に限った話ですね。
全体を見ると、学生の動きは三極化しています。
(1)ナビサイト解禁の3月1日には、ベンチャー企業や外資系企業などに入社を決めている層
(2)内定は持っているけど、超大手・老舗も候補に入れて3月1日のナビサイト解禁後も就活を続ける層
(3)ナビサイト解禁までなにもしない層。
今のところは(3)が大半ですが、学生にとってのナビサイトの位置付けがちょっとずつ変わってきているのは確かですね。
6.親の意思決定権「オヤカク」
この10年、親が就活に介入することが増えてきています。企業が、学生の親に入社確認を取る「オヤカク」をする企業も増えています。
理由としては親が子どもに嫌われたくない気持ちが非常に強いからだと考えられます。だからトラブルなどを子どもから相談されると自分たちがしゃしゃり出て、子どもを助けたくなってしまうためです。
7.内定辞退セット
話題になった内定辞退用の便せん、封筒、文例付きの下敷きが入った「内定辞退セット」もちろんご存じですよね?
あれだけ話題になったということは、学生が企業に対して距離を感じていて、内定を断るのが怖いと感じているということですから。
一方、「内定辞退セット」のようなものを使わないと辞退できない学生の主体性の危うさにも危険を感じます。それにしても、手紙というのは人事からすると一番厄介な辞退の方法です。
実際に会ったり、電話で話したりすると、まだ話を聞いて口説く余地がありますが、メールや手紙だとコミュニケーションが取りづらいですから。
8.内定承諾のかけもち
売り手市場で複数内定をもらう学生が多いですが、情報収集が十分にできていないからこそ、彼らは迷ってしまう。決断を先送りして、挙句の果てに内定式をかけもちしてしまう学生もいるのですから。
9.ハイカツ
ハイカツとは「配属活動」の略です。
入社前に、希望する組織に配属されるために行う活動のことです。近年よく耳にします。
内定辞退を匂わせることで、希望の配属先にいけるように誘導しようとする学生も中にはいるようです。
総合職である以上、希望は聞きますが、最終的な配属を決めるのは企業です。
ただし、主体性を持って希望を伝えることは重要なのでそのような学生を評価する企業もあるでしょう。しかし内定辞退を匂わせて交渉するのは良くないですね。
最後に
いかがでしたか?上記に掲げたワードは新卒採用に置いて、すべて知らないと恥ずかしいキーワードです!ご自身の新卒の就活のサイトはだいぶ時代が変わっているのをご理解いただけましたか?
採用活動の母集団形成、面接だけでなく入社後の定着、戦略化の研修内容なども大幅に変わってきています。
会社の昔からの決まり事や、ご自身の経験論からではなくしっかり頭を切り替えて、今の就活事情をアップデートし、採用活動に生かしてこの採用難の時代を乗り切っていただければと思います。